[ICR3SS user report by JF1VAS]
アイコム轄L帯域レシーバー IC−R3SSレポート
JF1VAS成沢融
![]()
![]()
昨年の年末よりCQ誌等のコマーシャルページに当機が紹介され興味と言うより飛びつぐ様な感じで注文しました。これはおそらく世界初ではないかと思われる機能があるからです。単に広帯域レシーバーは何社かが発売しています。FM−TVが受信できるものそれもアマチュアバンドのみはおそらく世界初でしょう。商業放送がFM−TVで行っている国では同じ様な受像機が有るかも知れませんがアマチュア無線バンド専用は無いでしょう。さて何故そんなにFM−TVにこだわるのか、飛びついた訳を説明します。理由は2つその1つはマイクロウエーブに有るのです。定説がこれも2つあり1GHZ以上と言う方といやSHF(3000MHZ)以上と別れています。この話は一寸置いておき周波数が高くなると無線機の送受信周波数を高安定に保ことは困難になります。水晶発振器は確かに高安定ですが、水晶発振ではGHZ帯の発振は不可能です。1μに水晶を薄く削れたとしても機械的強度は保てません。そこで逓倍といっで水晶発振器の高調波を取り出し20倍から100倍くらいまでしてGHZ帯を作ります。発振周波数は水晶の厚さで決まるので温度変化によって膨張や収縮が起き発振周波数が変動します1HZ動くと100倍すれば100HZ、更に100HZもとなるともうF3では通信にはなりません。マイクロウエーブそれも5GHZ、10GHZ更にその上を制覇したい場合に広帯域を必要とするFM−TVの無線機製作が楽なのです。SHFの場合アマチュアバンドは広いので少々動いても他局の混信はありません。映像変調は±10MHZも周波数偏移をかけるので1MHZくらい変動しても受信映像にあまり影響がないのでFM−TVはマイクロウエーブ入門の近道なのです。
もう1つはATVです。アマチュア無線ではアマチュアTVの事とお思いでしょうが、更に別の意味があるのです。日本の商業TV放送は衛星放送を除き全てAM放送でBS等一部がFM−TVです。AMもFMもいってみればアナログの変調です。世の中全てがディジタルに移行しています。特に情報産業の機器製品等アナログは皆無と言るでしょう。ましてはそのメディアの最前線にあるのがTVです。これも衛星放送を除き全てアナログです。家庭用のテレビはこれからの情報化社会に対応するため高品位画面でコンピューターに直結し双方向通信機能が求められます。従ってATV(アナログテレピ)は消える運命にあります。すでに衛星放送のアナログ受信機の生産の打切情報等を耳にします。現に秋葉原の電気街でもアナログ用のICはめっきり少なくなりました。おそらくアナログが死語になるのもそう遠くはないでしょう。アマチュア無線だけがつかうモールス符号そしてアナ口グテレビかも知れません。
前置きが長くなりましたが本機のレポートはFM−TVのみとさせて頂ました。アマチュアバンドは1200MHZと2400MHZの2バンドです。大きさは一寸前のハンディ機といったところです。今回飛びついた理由はマイクロウエーブATV交信は移動が主でロケーションの良いところ、特に山岳の頂上等に登る場合軽く小さくが鉄則です。写真−1の左は初期のCSチューナー、中は自作のチュー-ナー、右が当機(IC−R3SS)です。その前に置かれているのが1200MHZのフロントエンドです。この部分がネックで小さくするには限界があります。またこれらでは2400MHZは受信できません。当機においては小型しかも500KHZ〜2400MHZのAM、FMの受信可能となっているからです。
操作するには押しボタン6か所ダイアル1か所で全て行います。マルチファンクションSW操作は4つのボタン更に押す時間により倍の操作ができます。
大きな特徴は2インチのカラー液晶の他サプ液晶がありTV画面受信中の操作画面はサブになります。更にFM−TVのF9対応の音声サブキャリアが受信できます。アチュアテレビの場合サブキャリアの周波数はこれと決まりはなく4.5MHZ〜8MHZ間で各局勝手に使っています。国内の商業放送(AM)は映像波より4.5MHZ高い周波数を使用している関係かサブサブキャリアを4.5MHZの局とCS放送の6.5MHZ、6.8MHZの3波が多く見受けられます。
気になるのは感度です。1200MHZのFM−TV電波をを受信するため自作の1280MHZ送信機から電波を出しました。操作マニアルに従いレシ一八に竃源を入れ液晶を見ながら操作し画らしいものを見ながらDIALを回しチューニングをとりました。画質は悪くいくら調整しても鮮明な画が出ません。新品なのに不良品?再度マニアルを見て思い込みを反省。なんとTV受信は4.5MHZ低い周波数に合わせるとの事。DIALを回し周波数を下げると鮮明な画像が受信出来ましだ。やれやれ。次は感度測定をするためにどの様な方法を採るか検討した結果図−1のブロックダイヤで行う事にしました。
FM−TV用のSG(シグナル・ゼネレーター)がないので1280MHZの1WのFM−TV送信機のPOWを100mWに下げ更に可変ATT(HP社の減衰器)で受信入力を調整するようにしました。レベル構成は同じくHP社の437というPOW計で高感度センサーHP8484で−40dBmでATTとレベルの出力が合うようにサブのATTで合わせました。写真−1が1200MHZの測定に使用した機器です。
| 写真1 |
FM波の場合受信限界レベル(スレシュホールドレベル)があり受信入力がある点より下がると急に受信できなくなり音声なら急にノイズが大きくなります。テレビ信号の場合AM波では受信入力が下がると映像に色が付かなくなりますがモノクロでも画は見ることができます。FM波では受信限界レベルまで色が付きますがそれより一寸でも電波が弱くなると急に画質が悪くなります。この受信限界点が低ければ低いほど感度が良いわけです。写真−2の画面はメリット乳写真−3はメリット3〜2スレシュホールドレベル。写真−4はスレシュホールドレベルから1〜2dB下げた状態。比較のため10年前に購入したCSチューナーと自作のBSのフロントエンドを使った1200MHZ受信機も測定して見ました。写真−5の左はCSチューナーとそのフロントエンド。中は自作のチューナーとフロントエンドです。いかにI
C−R3SSが小さいか。更にモニター画面付きです。
| 写真2 | |
| 写真3 | |
| 写真4 | |
| 写真5 |
更に最近のS社のBSチューナーも測定してみました。感度の比較は(表−1)です。当機の定格表にはTV受信の感度は記載されていません。お世辞にも良いとは言えません。でもご安心下さいプリアンプを付ける事で飛躍的な感度UPに成功しました。使用したプリアンブ(写真−6)はヒョンな事から作りました。それは47GHZの受信コンバーターのIFを1200MHZに落とし増幅するために使用したAMPです。ゲインが公称36dB(約4000倍)しかも広帯域です。このAMPは毎月第4土曜日の13時から巣鴨で行われるフリーマーケットでゲットしたものでマキ電機のブースに有りました。15.0cmx18.0cmと超小型の基板に組み込まれ1K円です。それを持って向かいのブースでケースを物色しアルミのくり抜きで両端にSMAのコネクターの付いた箱を見つけました一寸基板の両端を削るとピッタりのものです。超小型AMPはマキ竃機へ注文すれば取り寄せる事が出来ますが、ケースは是非フリーマーケットに捜しに来て下さい。その他掘り出し物が沢山あります。早い者勝ち2時過ぎると完売で閉店が続出の日もあるのでで早めに行くことです。
| 写真6 |
話が脱線しました。このAMPを付けると−90dBmまでパッチリ受信出来ました。これだけの感度があれば1200MHZのATV交信は送信機が1Wでアンテナが10dBゲインとして受信アンテナも10dBとすると、1Wは30dBmてすから(30+10+10)+90で140dBの空間ロスまでATV受信可能です。距離にすると200Kmとなります。これはあくまで計算値で気象条件やアンテナヘのフィーダーロス等実際はもっと悪くなります。更に受信限界点で計算し表ので参考としてください。10dBのマージンを考慮しでも100KmのATV交信は余裕をもって出来まず。さらに高ゲインのアンテナを使用するとかなりのDXも期待できます。
さて、次に当機最大の目玉2400MHZのFM−ATVの測定です。ソースとしてトランスパークでは親機や局発等の漏れ等懸念されるので以前デモ用に製作したカメラと一体型の2400MHZのFM−ATV送信機を使用しました。測定ラインナップは1200MHZと送信機を除き全く同じです。測定機器は写真−7でカメラ付きのまま測定しました。IC−R3SSと比較したのは自作の2400MHZのFM−ATV専用受信機のみです。測定結果は表−2で1200MHZと同様で感度UPに先程使用したプリアンプを当機に接続したところ20dB感度が良くなりました。フィールドやホームでの受信にはやはりパラボラやループ八木ANT等高ゲインのアンテナを使用する事をお勧めします。
FM−ATV(F9)のサブキャリアについてメーカーに問い合わせて色々聞きましたが新機種のためか詳しい事まで聞く事ができませんでした。約4MHZ〜11MHZを復調できるとのこと復調周波数はダイアルを回すとバリキャップ(可変容量ダイーオド)による電圧シフトで復調周波数に合わせており。士63ステップの等分で1ステップが約85KHZくらいのシフトだそうです。
ステップの周波数特性をとって見ました。1200MHZのFM−ATV送信機のサブキャリアを止めOSCより3MHZ〜13MHZまで500KHZステップで特性をとりました。(表−3)バリキャップの特性によるので製番によって少々異なるかも知れませんが参考になればと思います。
これからの季節はフィールドATVに最高です。特に山登り等では小型なのでリュックにぶら下げたりフックをつけて腰に付けたりしても邪魔にならずFBです。写真−8は47GHZのFM−ATVトランシーバーにフックを付けて取付たものです。ブラウン管の6インチのテレビモニターは本体とほぼ同じ大きさなので今後は当機に替えてフィールド交信にのぞみます。
今回。世界初の受信機を私なりに独断と偏見でレポートしましたがATVが気軽に楽しめる機種として大変な優れ物です。低迷するアマチュア無線の救世主になる様に祈りながらペンを置きます。